悪魔
すべて、終わったのだと、彼は言う。彼だけではなく、まわりも、そう言っていた。何かを確認するかのように、それは、何度も何度も繰り返される。
悪魔を覆う皮膚
肌が触れ合うたびに、まるで、自分が自分でないかのような、感じに、陥る。
それを、彼に言ったことはない。
もしかしたら、気づいているかもしれないと思いながらも、いうことはできなかった。
「―――…なぁ」
今さっき、思いついたかのようにそういえば、彼は笑って、何かと聞いてきてくれる。
それは、優しさであり、きっと、彼の、余裕なのだろうと、そんなことを、思ってしまう。
もしも、おれが、かれのことをすこしも、すきではなかったのだと、そう言ったら、彼はきっと、いままで、誰も、思いもしなかったことを、しでかすに、違いない。
もっともそれは。
彼が、おれのことを好きだった場合に限るのだけれど。
「―――、一夜」
名前を呼ばれて、肌に触れらて。
もう、きっと、自分は彼から、彼の興味が失われるまでは、きっと。
彼から、離れることは、できないのだろうと、そんなことを、思った。
2018.02.14 // end
加筆修正そのうちすると思います