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03:酸素不足=君がいない

依存だってなんだって、いいじゃないですか。
そう言った姿は、泣くのを、倒れるのを必死に堪えているようにもみえた。

「僕は、編入生のことを何とも思ってないですよ」

景が小掠と恋人関係であるという事実を明かしてから、それほど時間は経っていない。
編入生は小掠に気があったのか、景に騙されているといった事を中心に、いろいろと言っている。
それを聞いてキレそうになる小掠を止めているのは、止められるのは、今のところ景しかいない。
にも、関わらず。
編入生が悲しがっているからという理由で、文句を言いに来る者がいる。

「―――近くにいても、遠くにいても何かしら理由を作って嫌味を言ってくるってことは、相当お暇なんですね?」

にっこりと笑って言い放った景を見て、生徒会長は動きを止めた。

「一番最初にも言いましたが、貴方方生徒会役員とお近付きになりたいと思ったことはないですし、今現在も思ってないので、このようなサービスをされるのなら、貴方の親衛隊の方々にどうぞ」

偶然、二人のやり取りを見かけ、見守っていた小掠には、景の笑みが死刑宣告のように思えた。
なおも編入生の話をする会長の話を聞きながら笑みを深めていく景を見て、小掠は影から飛び出した。

「景!」
「………み、つ?」
「それは、不味い」

目の前で拳を止められた会長は、瞠目したまま微動だにしない。
対して小掠に声を掛けられた景は、その言葉にぎこちなくも、頷いた。

「そう、だな、そうだ。すみませんでした、生徒会長」
「おまえは、おまえが、」
「何の話か分かりませんが、僕はもう編入生の側にいようとは思っていませんので」

現に、部屋替えもしたでしょう。
笑って言った景に返される言葉はなかった。

「助かった、三津」
「―――景」
「ん?」

晴れ晴れとした表情をしている景に対し、小掠は何も言うことが出来ない。
景が声を掛けた事が偶然でも、その後自分なしではいれないようにしたのは、ほかでもない自分であり、その結果このような状況になってしまっているのだと、小掠は思う。
ただ、後悔しているかと聞かれれば、それはないと即答することができる。

「やっぱり、三津の側が一番息がしやすい」
「……んだそりゃ」

景の言葉に、小掠は笑った。

2015.09.22


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