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01:いちいち構ってられない

厄介だ。
厄介で面倒で、本当にどうしようもない。

そんなことを考えながら今日も、宮宇地景(みやうちけい)は息を吐いた。

数週間前に同室になった編入生は、どうしようもないほどに騒がしい。
人の心を掴む能力が長けていると見えて、生徒会をはじめ、誰にも心を開かなかったという噂の一匹狼を連れ歩いている。

「らしいけど、感想は?三津」
「遺憾の意」
「だよなー」

ケラケラと笑いながら、景は言う。
景に名前を呼ばれた小掠三津(おぐらみつ)は切れ長の瞳を、細めた。
見た目だけは優等生に見える景が、族の総長をしている事など、たぶん自分しか知らないだろうと小掠は思う。

「つーかうるさいよな、今日も」

編入生に声をかけられ、彼の隣に景がいた、ただそれだけの理由で小掠は編入生の近くにいる。
そうでなくては、明らかに鬘であると分かる物を身に着けている奴の近くにいようとすら、思ってはいなかった。

「そろそろかなー」

景の頬に貼られている湿布を見たところで、編入生は何も言わない。
親友だというのならば、気にする素振りくらいは、するものではないかと思っていた小掠に、其処が面白いところなんだよと、景は笑った。

「……景」
「うん?んー、まあ、いちいち構ってられない」
「そうか」
「ん」

騒がしい編入生たちのやり取りを見ながら、近付いて来た景に小掠は笑みを返した。

「くっ、それは、卑怯だ」
「何がだ」

そろそろ、自分の近くで言い争っていない為に編入生が何事かを言ってくる頃合いだろうと、小掠は溜息を吐き、そんな小掠を見てか、景が笑った。

2015.09.20


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