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かねのねとともに。

※トリップ/平凡と魔王


今日も今日とて、俺は呼び出された。
誰に?魔王様に。
美形で角があって羽もあって尻尾もあるという不思議な魔王様に、だ。

「毎回毎回なんなんですか魔王様?俺には俺の生活があるって言いましたよねいくら会いたいからって毎度毎度鐘を鳴らしてその音でこっちに呼び出される俺の気持ち考えてくれませんかね?」
「いっそのことここにすむというのはどうだ?」

瞳にうっすらとした水の膜を張った魔王様が言う。
泣き落とすつもりですか、そうですか。
だがしかしそうはいかない、俺は男。
残念なことに、魔王様も、一応、男なのだが。
そして若干不本意なことに、俺は何故か魔王様の恋人になってしまっている。

「わかった、もういっそおまえ、俺の世界に来い」
「えっ」

キュンとされた。
そんでもって宰相に睨まれた。
すまん、宰相。
半分は冗談だから許してほしい。

「さみしい」
「はいはい」

しまいには魔王様は俺に抱き着いてぐずりだした。
これでも仕事はできるのだから、まあ。まあまあ。

「とりあえず元の世界に戻してそんで三時間後にまた鐘鳴らして」
「………」
「ちゃんと言うとおりできたら構ってやるよ」

にやりと笑って言えば、魔王様の顔が赤くなった。

2015.02.13


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