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赤白橡
2023/02/06
「あかしろつるばみ…」
呟けば、何を言っているのかと投げかけられた。
=
赤白橡=
「や、名が体を表さないこともあるんだなあと、」
そんなことを考えていたと言えば、笑われる。
だからといって、気持ちが落ち込むかと言えば、そのような事もなく。
「似たような色の名前も何個かあるらしくて、」
「へぇ?」
「知ってた?」
「いま、知った」
笑いながら言う彼は、知らないことを知ると、笑う。
知らなかったことを知ったかぶりで言ったとしても、笑う。
曰く、知らないことを知ることが楽しいのだと。
自分にはよく分からない感情だと、そんなことをも思いながら。
「橡、って、ブナ科クヌギの古名なんだって」
「へぇ」
「赤白橡は、櫨と茜で染めてるから、」
「………、」
「橡は使ってないけど、」
「………………」
「見に行こうと思う」
その言葉に、彼は笑った。