青く当たり前の晴天が潮風を見下ろす。

記憶にないもっとずっと奥底で、懐かしいと感じてしまう磯の香り。瞬きが隠す色は望まれた蒼い海なんて欠片も持っていないのに。

なんの面白味もなく薄い青色の瞳、見窄らしいまでにくすんだ鼠色の髪、弱々しく貧相な体。

どんなに期待をされても、どんなに頑張っても、――に少しも近付けない日々はただ惨めだった。


もう、誰の目にも留まりたくない。

誰の迷惑にもならず誰の邪魔にもならず、苔が生す静かな影でただ目を瞑りひっそりと生きていたい。

それが許される血の元に、産まれてきたかった。


前に見た…画集だったかなぁ。茶々くんの瞳によく似た海があってね、

優しい言葉、聞こえないように。

海と空が合わせ鏡になっていて、綺麗だったんだ

暖かい日だまり、探さないように。


閉じ籠った四角い箱の部屋、継ぎ接ぎの手で塞いだ両耳。

縫合に委ねた粘土の瞼を、

針の先見てそっと伏せた。


Sea the Sky
海一面に澄み渡る空


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -