「見て、お星さま」

「おうしさま。」

自宅の屋上で見上げる夜空。施設の中では見たこともない無数の煌めきは、まるでそうする事が当たり前の様に広い広い群青色に散らばっている。後ろから大事に抱き込んだビビが胸に背を凭れ、一際大きく光るまん丸をゆうたりと指差した。

「それはお月さまだよ。周りの小さいやつがお星さま」

ふーん。
煌めき深い夜空に感慨を滲ませるわけでもなく、至極どうでも良さそうな返事が聞こえる。ウタ自身もこの夜空にこれといって何かを感じるわけではなかったから、一緒に暮らしているとこういう面も似てしまうのかなと苦く笑った。

見たこともない景色だろう、と気を利かせて屋上に連れ出したは良いが、興味のなさそうな返事の通りビビの好みには合わなかったらしく、ぼーっと見上げていたのはほんの数秒。あれだよ、と星を指差してくれる手を捕まえて振り返ったビビは、お星様そっちのけでじっとウタを見つめる。

ぱちぱち、瞬きに遮られる海に散らばった、無数の煌めき。

「……ぼくはこっちの方が好き。蒼くて、綺麗で…ビビちゃんにも見せてあげたいな」

「?」

でも、目玉をくり抜いても同じ海にはならないから。勿体無いけれど独り占めをして、夜空をうつす不思議な瞳を覗き込んだ。

海も空も、誰かへと繋がっている。


海一面に煌めく星達


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -