人間と喰種の愛情を見た。被験者と研究者の愛情を見た。女と女の愛情を見た。

全て、ただの悲劇だった。


痛みに耐えながら自らの肉を削ぎ落とす人間と、友の肉と知らずに口へ運ぶ喰種。


――あの子の事をお願い。私がい亡くなった先で、泣いてしまわないように


人の居る場所では、決して赫眼になってはいけない事。人の居る場所では、決して赫子を出してはいけない事。トランクや大きな荷物を持った者には、何があっても決して、決して近寄らない事。私の言い付けを、きちんと守る事。ウタの言う事を、きちんと守る事。幸せで、いる事。

ノートを広げながら急ぎ足で言い聞かせる言葉はどれも悲しくて、どれもさようならに聞こえて、どれも優しかった。

――あの子の事をお願い。私という人間の、


彼女は死ななければならなかった。守る為には、死ななければならなかった。一緒に生きてはいけなかった。

――たった一人の友人なのよ。


彼女は今、友人の血肉になれる瞬間を待っている。暗く寒い箱の中で。それもまた、彼女の幸せだったから。

“あの子”がごちそうさまをしたら
いよいよ別れの時がやってくる。


花とビビが笑い合う日はもう来ない。


枯れた造花


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