お巡りさん、こちらです
奥山は購買から帰ってくるなり、実に神妙な顔をしていた。
そのまま席に座ってゲンドウポーズ。
「やべーわ、黒尾」
「何が?」
ペットボトルの蓋を開けて一口飲む。もうぬるくなっていた。今日も夏日だな。
「やべーわ」
「お前の語彙力がやべーわ。なんだよ」
二口目。明日は凍らすか。あんまり冷たいものは良くねーけど、やっぱ生ぬるいより断然いいよな。
「隣のクラスの女の子にぶつかった」
「おうマジか。相手は無事か」
「その子メチャクチャいい匂いした」
思いきりむせた。
「ぶつかった瞬間こうフワッと香ったんだわ!なんなのアレ!まじ謎なんだけど!しかもその女の子クソ可愛くてさ!思わず襲いたくなったわ!」
「おいセクハラ親父暑さで頭がやられたのは分かるが通報されたくなかったらその口閉じろ」
早く席替えしたい。
そう思った夏の日でした。