幼馴染みちゃんと幼馴染みくん




部活をサボってしまった。
初めてではなかったが、さすがに3人全員、じゃ示しがつかない。
2人は生徒会だから、融通が利くし、理解もある。が自分は違う。
部員に何か言われてるのかな?いや、副主将が機転を効かせてくれているだろう。昼の件で理解してるはずだし、部活中に問いただしたのかも。
いや、それ以前から知っていた可能性もある。

「…はぁ。」

どうして、そうなってしまったのだろうか。
お似合い、だったはずだ。
確かに女たらしな部分があるかもしれない。
でもそれに負けずに優しい。
おちゃらけているけれどもムードメーカー。
少し控えめな瑞穂にとって、お似合いだと思ったし、及川も及川でああいうタイプは初めてのはず。

『好きなタイプは活発な子!』
いつも言ってたセリフだ。
それでも反対の瑞穂と付き合ったのは、少なからず気がそっちに行ったわけで。

「……。」

瑞穂ととかどうかな?

そう言ったのは自分。
瑞穂が及川のことを好きだと言っていたから、ここは大親友として、一肌脱ごうと思った。及川も、最初は戸惑っていたものの、結果付き合っているということはそういうことだ。

確かにこれといった世間で言ういちゃつき、というものは見せてこなかった。
別に隠している素振りはなかったけど、公にしている感じでもない。
いつも通りのあの薄っぺらい笑顔で、「帰ろー。」といったところをよく見た気がする。
休みの日に2人が会っているのかは、言わない同士でわからなかったけど、何か問題があるようには見えなかった。


こんこん、と窓を叩く音がする。
カーテンを開ければ、「よ。」と短く幼馴染。及川の家は少し離れているが、岩泉とはお隣さん。本当に腐れ縁で、隣の部屋同士、まさかの窓と窓。
昔はよく窓をまたいでお邪魔した。
その度双方の両親に怒られた。


いつからかやめたやつ。


いつからかカーテンを閉ざしたのは自分の方。




「開けんの久々だねー!」
「ほらっ。」
「わわっ?!」

開けたと同時に岩泉はアイスを投げてきた。ソーダ味の棒つきアイス。
ありがとう、と短く告げて、頬張る。

このやりとりも久々だ。アイスを持ち寄ったり、お菓子だったり。 全部こちらが辞めたことなのに、岩泉はなかったみたいに昔のままだ。

食べ終わるまで無言が続いたが、口を開いたの岩泉の方だった。

「気にすんな。」

それだけだった。その一言だけ、彼は言った。阿吽、と呼ばれるペアなんだ。私が推したこと、知らないわけじゃないだろう。

「……余計なことだったのかな。」

そういう出来事が起こってみないと、わからないこともある。
自分の中ではそれが一番の答えだと思っていた。そのまま成功したし、不自然なところもなかったはずだ。
考えれば考えるほど、心が痛む。さっきまであんなに泣いたのに。

「…お前は悪くないだろ。」

岩泉は甘やかす。
気がつけば何年も入れていなかったこの部屋で。
気がつけば彼の腕の中で、
声を荒げてまた泣いた。




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