勇者は誰だ!
とある日の部活終了後。
梟谷学園男子バレーボール部の部室にて恐怖が舞い降りた。


「ぎゃー!」


突然の悲鳴に周りはおののいた。
何事かと声のほうへ体を向ければ、木葉が顔面蒼白で立っていた。


「なになにどうした!」
「すげー声したけど!」


ぎぎぎ、と機械のように首だけ動かし彼は振り向いた。


「出た」
「なにが?」
「Gが出た!」


「G」
すなわち、アレを示唆するイニシャルだ。そう、二つの触覚を持ち、茶褐色で扁平な体をしていている生きた化石などといわれる虫。
すると、呼ばれたようにカサコソと小さな平たい黒光りしたものが見えた。
彼らに戦慄が走る。


「どこ行った!」
「あ、あっち!」
「殺虫剤!ゴキジェット!」
「そんなもん部室(ここ)にあるかぁ!」
「叩くもの!新聞紙とか!」
「雑誌!もう読まねえやつ!」
「これ去年からあるからいいんじゃないすか?」
「だめそれナルトとサスケの最終決戦だから!」


目標は壁を登りはじめた。白地のそれに良く目立つ褐色。
そしてヤツは羽をバサッと広げる。


「飛んだー!」


果たして、あの小さくとも莫大な影響力を持つ魔王を破るのは誰だ!





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