「に、にに、西谷っ」
「おう、橋沼!どうした?」
時は少し進み2年3組。
友人と談笑している西谷 夕に、控えめに声をかける橋沼夏乃。
こちら側としてはなかなか控えめに声をかけたのだが、彼の返事はやや大きめである。
「ちょっと話をしてもいいですか。」
「…いーけど、なんで敬語なんだよ?」
不審がる西谷に、「警戒してんだよ、バカヤロウ!」…とは流石に言えない。
クラスの中心的なやつ嫌い。こういう、うぇーい!みたいなタイプ超嫌い。
「ま、まあいいじゃないですか、と、とりあえず、あの、ば、バレー部の主将さんのクラスと名前を教えてくださいそれだけ。」
早く言え早く言え。用件それだけほんとそれだけ、ひぃ女子怖い。早く言え。
夏乃は心の中でそれだけを延々と繰り返す。
「主将は大地さんだけど…3年‥4組だったかな。でもんなこと知っ」
「ってもいいじゃない人間だものどうもありがとうございましたそれじゃあ!」
「はぁっ?!ちょっ!」
西谷が声をかけるも、夏乃は足早に教室を出た。
バレー部主将大地さん3年4組バレー部主将大地さん3年4組バレー部主将大地さん3ね…ん…
「あ。」
夏乃はあることに気が付いて、早歩きを急ブレーキに変える。
「…名字聞いてない。」
行っていきなり 大地さんいますか?とかなんだ。うちは彼女かよ。
「3年4組か…はぁぁぁああ?!」
3?3年生?!先輩じゃないか!無理無理無理上級生怖い、そうだよね、主将ですよね上級生ですよね、わかります。
…詰んだ。もう無理だ。目の前まで来たけど。
「あれー?君確か…?」
「ひ…っ!」
「ひ…って傷つくべ、それ。」
某キングダムみたいに泣きぼくろのあるこの人、なんか見たことあるような無いような…。いや、後ろから声かけたら反則でしょうそれは。
「3年生のクラスに何か用?」
…あー、わかった。バリボーの人だな。そうそう、いたいたこんな人。名前は知らんけど、じゃあ丁度いいね。
ごほん、っと咳払いを1つ。
「大地バリボー主将先輩いますか。」
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