りん 2 (柊)
かなわない恋をした
子供でもわかる。
遠い、距離。遠い、年の差。
メールも電話もあるから。
なんて言い訳私の心にはもう通用しない
会いたい。
ただ気持ちだけ先走る。
会いたい。
「オサムちゃん……」
会いたいよ…
ケータイが光る着信音はオサムちゃんではない
お気に入りの恋の歌が悲しい歌に聞こえた
今聞きたいのはあの、個人設定した切ないメロディ
それでも出ない訳にはいかない。泣きそうな声を出さないように
深呼吸して携帯を見る
「公衆電話…?」
久しく見ていない通知に警戒する。
でも変わらず鳴り続けるケータイに恐る恐る出る
「も、もしもし……?」
「りん!やっと出た!俺や!!超イケメン教師オサムちゃん!!!!」
「え…?オサムちゃん!?」
「詳しいことは後で話すわ!!小銭もうないねん!!○○駅に来いや!」
「え?え?なんで?」
「驚かせよ思ってな!実は」ブチッ
「……切れた。」
○○駅……って…最寄り駅だよね…
まさか
「な、なんで……っ」
「ん〜?驚いたやろ?」
目の前にいるのは会いたくて仕方なかった…
「驚くでしょ!オサム…ちゃ…」
「会いたかった、りん」
あぁ、オサムちゃんも同じだった。
私と同じ気持ちだった。
「私も会いたかった……、オサムちゃん」
ぎゅっと抱きしめられて、オサムちゃんの匂いがした
夢じゃないんだ……
「で、でもなんで……」
「この前お馬さんが大当たりしてなぁ〜明日休みやし…来ちゃったんは、ええけどケータイの電池なくてな。充電器買うのももったいないし。りんの番号なら覚えてるからえぇかなーって。公衆電話探して…」
「〜〜っ」
「泣きそうな顔すんなや」
我慢してるんやから
そう動いた口をみて私は苦笑いした
今日は遅くまでおしゃべりして
そして明日は思いっきり寝坊しよう
朝ごはんの用意をしながら、起きてきたオサムちゃんに
おはよって言うんだ
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