白い香りと(ロゼ/悲恋)



いつからだろうか、この空白感は。
私の穴だらけの日々を埋めていったあなたという存在は、決して生温いようなものではなかった。私のほぼ全てがあなたで埋まり、形を作り、不器用な私がこの形を整えていた。
依存していたかと言われればそうではなく、執着していたかと言われてもそうではなかったように思える。
別れを切り出した訳でもなく、自然消滅したのではなく、ただあなたの言った私の心を抉るような優しい言葉が、この日々に別れを告げているような気がしたのだ。
会いたいわけでもない。話したいわけでもない。ただ、あなたの心のどこかに今でも私の居場所が残されていないのか、そんな些細な悩みが蓄積されて大きな一つの悩みへと化していく。
私の中に大きく空いた一つの空白感。
何をしてもしなくても、ただ気がそぞろで寝ても覚めても何かを探してしまう。
「私は何をしているんだろう…」
息も絶え絶えに出た掠れた声だった。
私の瞼はこんなに重いのに脳では色々と複雑な事を考えている。
何よりも、今でもあの日言われた言葉が頭から離れない。
あなたで形を作り、私が整えて、それを私達は恋と愛と呼んでいたのだとするのならそれは正解だったのかもしれない。
「会えてよかった」
儚い笑顔とこの言葉で私はあと何回涙を零して、泣きながら笑うのだろうか。
いつか、心からそんな風に思えるようになったら、私も同じだと言おう。
あなたに、最高の笑顔を添えて。







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