とあるマジバのバスケ部男子

▽黄色の彼



「いらっしゃいませ」
「えーっと、これのセット…テイクアウトで頼めるっスか?」
「かしこまりました。少々お待ちください」

 珍しくガラガラに空いているマジバに、あまり見かけない制服を着た青年がやって来た。
 何か先輩方が騒がしい。え、何? よくここに訪れるモデル? …とりあえず、騒いでないで手伝ってくださいよ。


 私が商品を持って戻ってくると、彼は財布を探して鞄を漁っていた。その中からチラリと見えたもの。

「バッシュ…?」
「え?」

 いけない、何でも口に出す癖直した方が良いな、私。
 ちょっと先輩方、羨ましそうな顔してるなら代わってくださいよ。

「正解。オレ、バスケ部なんスよ」
「そ、そうなんですか?」
「あ、もしかしてオレの事知らないっスか?」
「はい…? バスケ部なのは解りましたけど…」

 彼の事は正直よく解らない。でも、確かに身長高いしバスケ得意そう。私はモデルとしてじゃなくて、バスケ部としての彼をイメージした。

「お待たせいたしました。…頑張ってくださいね、バスケ」
「ありがとう! 純粋にバスケプレーヤーとして応援してもらえて、嬉しいっス!」

 また来るね!と彼は去って行った。

 多分だけど、モデルとして応援される事が多いんだろうな…。私はモデルの彼を知らない。だったら、バスケ部としての彼をとことん応援してあげよう。




fin.

(2013 04/20〜04/30)








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