とあるマジバのバスケ部男子 ▽覚悟を決めろ マジバでは、小さい子どものためのセットメニューでおもちゃを取り扱っている。今回の子ども用セットのおもちゃは戦国武将フィギュア全3種類。それが通常のおもちゃよりも特別らしくて、頑丈で大きい。バイトの先輩からの噂によると、とあるフィギュアの製造会社と手を組んで作ったとか。…マジバの裏組織どうしちゃったんだろう。 で、私が何を言いたいのかと言うと…… 「…えっと」 「頼む!」 今、その戦国武将フィギュアが欲しいと言う誠凛高校の生徒に遭遇していて非常に困っているという事なのです。 子ども用セットは小学生以下にしか売る事が出来ない。でも、彼は必死だ。とりあえず、理由を訊いてみる。 「…オレ、これ作ってる製造会社のフィギュア集めてるんだけど、これ…マジバの限定生産らしいんだよ」 「お、おお…」 「この前3Pシュート外したせいでまたカントクに何体か折られて…。ますます戦場が寂しくなっちまって…」 「折られっ!?」 「あ……悪い、語りすぎた。こっちの話だ…」 何かすごい事聞いちゃった…。3Pシュートって事はバスケ部なのかな。 この人、戦国武将が相当好きみたいだけど、それを折るって…。 「すごいプレッシャー、かけてるんですね…」 「ああ…オレは主将だからな。誰よりも精神的に強くならねぇとダメだから…」 いつの間にか、彼の話を夢中になって聞いていた。覚悟決めてるんだ。それだけ、この人はバスケに真剣なんだ。 私は周りを見渡した。先輩方は誰もいない。店長もいない。 「…バレないようにテイクアウトしてください。3人分のお値段になりますよ?」 「! …ああ!」 私は素早く子ども用セットを用意してフィギュア全種類を詰め込み、彼に渡した。 「…っありがとうな!」 折られないように頑張ってください。私はそんな気持ちを込めて彼を見送った。 fin. (2013 04/11〜04/20) [mokuji] |