とあるマジバのバスケ部男子

▽大食漢



「え?」
「チーズバーガー30個」
「もう一度…」
「だから、チーズバーガー30個」
「えぇぇぇ!?」

 思わず叫んでしまった! 聞き間違えかと思ったらそうじゃなかった。だいぶここでのバイトも慣れてきたと思ったのに…まだまだ甘かったか…。

「せっ、先輩。チーズバーガー30個なんですけど…」

 あれ、先輩の目付きが変わった。
 すごい、バイトの先輩方が一致団結してチーズバーガーをどんどん準備していってる。どうやら先輩方はチーズバーガー30個に慣れてるみたいだ。ここのマジバ、こんな注文も受けられるようにならないとダメなんだね…。

 お客様に向き直ってよく見ると、誠凛高校の制服を来ていた。やっぱりこの辺りは誠凛多いなぁ…。…にしても、この人大きい。本当によく食べそうだ。

「な、なんだよ?」
「あっ、ごめんなさい。良い体なので…バスケ部とか入ってそうだなぁと思いまして…」

…私は何を言ってんだぁ! お客様になんて事を!! 先輩方ごめんなさい!! お客様1人減っちゃう!!

「ああ…オレ、バスケ部なんだ。よく分かったな?」
「…え、本当ですかっ? 似合います! とても強そうですっ!」
「ハハッ! 実際強ぇーよ?」

 彼は怒らなかった。むしろ話を合わせてくれた。なんて良い人だろう。


 いつの間にか、トレイには先輩方の努力の結晶(チーズバーガー30個)が乗っていた。

「お待たせしました。ごめんなさい、余計な事言ってしまって」
「いや、こんな風に話してくれる店員初めてだったから楽しかったぜ。ありがとな!」

 バスケ部男子、大食漢な彼はとても好印象でした。




fin.

(2013 04/01〜04/10)








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