腐女子の過去と現在 これは、私の中学時代の話だ。 中学生になった私は、男性同士が愛し合うと言う内容の漫画を読み、感動した。体育は苦手だったけど、保健が得意科目になった。 ある日、席替えをして、隣になった男子に話しかけられた。 「僕、苗字さんと隣になれて嬉しいな!」 良い人だと思ったので、私は彼に前から気になっていた自分の疑問をぶつける事にした。 「あの…質問しても良いかな?」 「はい、何でしょう!」 「前に漫画で読んだんだけど、男性の生殖器って小さい時に剥くと大きくならないって本当?」 「……」 その男子は目に涙を浮かべて走り去ってしまった…何故。もしや、剥いてしまったのだろうか…。剥く行為自体よく解らないのだけど。 それから、私は男子という全ての男子に避けられるようになってしまい、女の子の友達しか出来なかった…何故。 私はそれでも良かった。同じ次元に住む男子はどうでも良かったから。それより、早く家に帰ってパソコンをやりたいだとか漫画を読みたいだとかいつも考えていた。 * それが原因か解らないけれど、私が話せる男子は少ない。高校生になった今、まともに話せるのは高尾ちゃんと緑間くんだけだ。 この二人が大切な人だと思うようになったのはいつからかな。前は、二人の関係そのものだけが好きだったんだけど。いや、今も好きだけど。 高尾ちゃんが痴漢されてた時はいてもたってもいられなかったし、緑間くんがストーカーされてた時は何とか助けたいと思った。 迷惑だったかもしれない。でも、二人は「ありがとう」と言ってくれて、すごく嬉しかった。 「高尾ちゃんも緑間くんも、ありがとう」 「「は?」」 おっと、いきなり過ぎたかな。二人の昼食を食べる手が止まってしまった。 今日は、隣のクラスの友達が欠席。ひとりで食べようとしていたら、二人が誘ってくれたのだ。 「別に、大した事はしていないのだよ?」 「そーそー。たまには一緒に食いてーなって思って…」 「あ…ううん、誘ってくれた事に関してもありがとうなんだけどさ…」 私はさっきの中学時代の話を二人にしてみる。高尾ちゃんは盛大に噴き出し、緑間くんは思いっきりむせた。 「ぎゃははは! その男子かわいそー! 名前に硝子ハート砕かれたな!」 「…苗字は、中学の時から…全く…」 「む〜! ……まあ、そんな二人にありがとうな訳」 「「はあ?」」 「こんな私とも話してくれるからさ!」 ドン引きしたとしても、最終的にはちゃんと受け入れてくれるもん。高尾ちゃんは「当たり前っしょ!」とはにかんで。緑間くんは「オレは心が広いのだよ」とそっぽを向いて。そんな二人に、また私は「ありがとう」を重ねる。 高尾ちゃんと緑間くん。私の毎日を明るくしてくれる二人の男の子。これからも、一緒にいられたら幸せだなあ。 「で、剥くと大きくならないって本当? 二人はどうしてた?」 「ブッフォッ!! ソレ今訊く!?」 「高尾……オレはもうダメなのだよ…」 「あああっ!! 真ちゃんノックアウト!!」 fin. [mokuji] |