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I love you, really.




「笠松くーん!」
「…何だよ、名前」

 大好きな笠松くんと彼氏彼女の関係が出来上がって三ヶ月。初々しかった笠松くんもやっと私と普通に話してくれるようになった。
 笠松くんはまだまだ女の子が苦手みたいで私以外とは目も合わせられない。でも、それで良い。私だけ見ていれば良いんだよ、笠松くん!

「呼んでみただけー!」
「はぁ? …うっぜぇ」

 しかし、最近笠松くんの反応が酷くなってきてしまった。今だって机に頬杖ついて面倒臭そうな顔をしている。
 もちろん笠松くんが浮気なんて有り得ないのは解っているんだけど…。まさか私、女として見られなくなってる……? それは困る。将来は笠松くんと結婚して幸せな家庭を作りたい。既成事実も作って子供も作って…やらないといけない事が沢山あるのに。

「嘘だよー、ちゃんと話あるって!」
「早く言えよ…シバくぞ」
「笠松くんって…いつも私にシバくとか言うけど触れた事ってあんまり無いよね?」
「…っ!?」

 付き合って一ヶ月の時に笠松くんは目を見て話せるようになった。付き合って二ヶ月の時にやっと私の手を握れるようになった。三ヶ月の今日、するべき事はただひとつ!

「そろそろ…キス、しない?」
「はぁああ!!?」

 笠松くんは驚いた拍子にそのまま椅子ごとひっくり返った。ああ笠松くん、そんなところも大好きだよ!

「おい、名前……お前、何言って」
「そんな慌てなくても…それより、大丈夫?」
「あ、あ、ああ」

 笠松くんの手を引こうとしたけど、私に笠松くんを引っ張る力なんて無かった。忘れてた。
 私は笠松くんの方に倒れ、覆い被さる形になってしまった。…これはヤバい。笠松くんはまだこの段階には達してないのに!

 笠松くんは私の下で口をパクパクさせていた。

「うあっ……名前…ど、け…」

 笠松くんは、耳まで真っ赤に染めて両手で顔を隠してしまった。ちらりと見えた瞳は潤んでいた。何これ…可愛すぎるんだけど。アクシデントなのに私が襲ったみたいになっちゃってる。
 笠松くん…私の事、まだまだ女の子として見てくれてるんだね。

「笠松くん」
「ンだよ……」
「いただきま〜す」
「あ、おい!! 待っ…ここ教室…っ!!」

 私は力が入らなくなっている笠松くんの手首を掴んで床に押し付け、唇に食らい付いた。何これ…すっごい柔らかい…

「ん…かさまつ、くん……」
「ふぅっ…んん…ぁっ…」

 されるがままの笠松くん。気のせいかな、ちょっと甘くて美味しい。目をぎゅっと瞑って一生懸命キスに応じる姿にキュンキュンする。私は夢中で口を塞いだ。









「機嫌直してよ〜」
「……」

 笠松くんは机に突っ伏してそれっきりだ。嫌われちゃったかな…それは嫌だ。

「名前…お前、何人とした事あんだよ…」
「へ?」
「き…キス」

 笠松くんが目だけ私に向けた。私はポカーンと笠松くんを見る。…あ、そっぽ向かれた。

「ファーストキスだったけど」
「はぁ!?」
「笠松くんに捧げるつもりでとっておいたの」

 笠松くんは勢いよく顔を上げた。それからまた机に突っ伏した。

「…上手過ぎんだろ…何で」
「気持ち良かった?」
「……」

 気持ち良かったんだ…。何も言わないで顔赤くされたら、肯定されてるとしか思えないね。

「私も気持ち良かったよ! …痛っ!!」
「今度から真面目にシバくからな…覚悟しとけよ」

 笠松くんが付き合って三ヶ月で学んだのは私をシバく事だった。
 でも、触れ合える機会が増えるのは大歓迎。たとえそれが唇じゃなくても。

「今度は笠松くんからキスしてよ!」
「無理」
「えー!」
「三ヶ月じゃ早すぎんだろ…」
「…覚えててくれたの?記念日…」
「……シバくぞ!!!」
「うぎゃっ!! もうっ照れ屋さんなんだから!!」

 笠松くんが可愛すぎて辛い。
 四ヶ月記念日には何をしようかな…。とりあえず、今日は笠松くんをお持ち帰りしたいな。ダメかな。




fin.

(2013/04/18)



 当サイト初の笠松君でした。
 リクエストいただいたのが初めてで不安だったのですが…みやこ様、いかがでしたでしょうか? ちゃんと「恥ずかしがりな笠松君」になっていますか…(゚゚;)?
 誰かのために作品を捧げる…とても良い経験をさせていただきました! みやこ様、7777hitのキリリク本当にありがとうございました!




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