Main | ナノ



オレの決意





「おっはよー!」

 クラスメイトと挨拶を交わして新しい席に座る。

(名前ちゃん…)

 右隣確認。名前ちゃんの鞄は置いてあったけれど本人の姿が見当たらない。また隣のクラスの友達に会いに行ってんのかな…。

 はぁー…名前ちゃん、早く会えないかなぁ。さっきからオレ、名前ちゃんの事ばかり考えてる……。
 ああ、名前ちゃん、名前ちゃん、名前ちゃん…

「朝からそわそわするな。気持ち悪いのだよ、高尾」
「なっ! ひでぇよ!」

 真ちゃんには解る訳ねーよな、オレの恋心なんて!!

 名前ちゃんの笑顔や声がずっとオレの心の中で繰り返されてる。やっぱり、これは運命だ。悪いなおは朝。今回はオレ自身を信じさせてもらうぜ?

「高尾…、今朝のおは朝占いは観たか?」
「観てねぇよ?」
「今日も、蠍座は最下位なのだよ…」
「……今日も?」

 二日連続は珍しい。全国の蠍座可哀想! オレもだけど。

「オレの蟹座は11位。運悪く…ラッキーアイテムも用意出来ていない…」
「マジ? 何なの、真ちゃんも持てないラッキーアイテム…」
「キャミソールだ。母親に借りようと考えたが、恥ずかしくて諦めたのだよ…」
「ブフッ。そりゃ…うん、お疲れ」
「笑うな…!!」

 おは朝…オレが信じないからって無理難題吹っ掛けんなって!!
 でも、ラッキーパーソンが蠍座なんだって。仕方ねぇな、なるべく一緒にいてやるよ真ちゃん!

「真ちゃん、蠍座…何か言ってた?」
「大切な何かが奪われ、後悔すると言っていた」
「はあ…ネガティブ過ぎねぇ?」

 とりあえず、早く来ないかなー名前ちゃん。

 視線は窓の外にでも向けておこう。ドアには集中力を傾けておく。



──ガラガラ



(……来た!)

 オレにはホークアイがある。そして、愛がある…上手い事言った?

「おはよう! 高尾くん、緑間くん!」
「おはよう! 名前ちゃん!」
「…ふん」
「緑間くん冷たいなぁ」

 何なの? 真ちゃんは!? まぁ、素っ気ない真ちゃんは置いといて…
 名前ちゃん! 名前ちゃん! 待ってたよ名前ちゃん!

「今日も一日頑張ろうな!」
「うん!」

 先生が入ってきて、SHRが始まる。
まだクラスにざわつきが残る中、名前ちゃんに小声で呼ばれた。

「…何?」

 距離が、近い。ドキドキする。もうとっくにオレの心は持っていかれてる。
 名前ちゃんがオレに少し近づいて静かに言った。

「緑間くんと高尾くん…本当に仲良いよね! 良いなぁ…」






 幸せな中、ふとさっきの真ちゃんの発言を思い出した。

 大切な何かが奪われ、後悔する。

 もし…大切な何かが、名前ちゃんだったとしたら?

 奪われて…後悔。

 そういえば名前ちゃんはオレに話しかける時、よく真ちゃんの名前も一緒に口にしていた。

 …解ったぜ、おは朝。そう言う事だろ?
大切な何かが奪われて後悔するってのは、名前ちゃんが真ちゃんに奪われちまうかもって事っしょ?

 そうなら、少し時期は早いけどオレも行動しないといけねえよな。

「名前ちゃん」
「何? 高尾くん」
「放課後、話あるから時間もらえない?」

 何も出来ずに奪われるよりはマシだからね。悪い、真ちゃん。放課後だけは一緒にいてやれねぇわ。








[*prev] [next#]
[mokuji]