21

それから数日、総司が俺のことを透けて見えるっと言ったように、俺も総司が透けて見えるようになってしまった。だけど、このことは総司自身には伝えなかった。
言うと、総司は苦しい思いを必死で押し隠してなんでもないように笑ってくれるから。
きっと…別れが近づいているのだろう。

「はじめ君。僕…はじめ君の姿が…もぉ…ほとんど見え…無い。」
「はじめ君は僕が分かる?」
「あぁ。」
「そっか…多分…もう、そろそろなのかな…」
「俺…俺は総司を探し続ける。」
「僕、もぉ…存在してないかも知れないよ。」
「それでも、探す。」

俺の言葉に対する総司からの反応は無い。

「総司の元に届けたいモノが有るから。」
「はじめ君…」

俺は総司の言葉に耳をすませた。

「僕を好きになってくれて有り難う。」

俺は苦笑いした。

「ソレを言うにはまだ早いよ。」
「でも、言いたかったから。」

俺は少し間を置いて、真意を伝えるべく総司に伝えた。

「また会おう。」

総司は戯けた口調で言った。

「誓いのキスでもする?」
「茶化すな。」

そう言うと、透き通った総司が僕に唇を合わせた。


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