2014/06/13 16:47 


「ただいま。」
「あら、おかえりなさいマリアさん。今日は随分と早かったんですね。」
「まあね。年始の一番忙しい時期も終わって、ちょっと暇なんだよ。預けられたポケモンの世話も、仕事として割り振られた分の内容は終わって、余った時間で掃除をしていたんだがそれも粗方終わってしまってね。あちら側から今日はもう帰って良いと言ってくださったよ。」
「ええ、育て屋のお手伝いでしたよね。お疲れ様です。お風呂にしますか?それとも先にご飯にしますか?」
「掃除を張り切ったから今日は先に風呂に入ることにしようか。湯船には浸からないから、このまま浴室に行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい。………さて。それじゃあ暖め直して、マリアさんが上がってこられる頃にはほかほかのご飯が食べられるようにしておきましょうか。…あら?」
「…うっ…ぐずっ…」
「あらまあ。その声は千歳?」
「うぐっ…あ、あずさあ……」
「はいはい、梓沙よ。どうしたの?」
「……のっね、ちぃね、あのね…」
「うんうん。大丈夫だよ、怒らないから言ってごらん?」
「ち、ちぃ、こわい夢を見て…」
「寝られなくなっちゃったの?」
「んっ…それも、そっ、なんだけどっ」
「…?」
「うっ…ひぐっ………ううっ、ごめんなさいっ、ですっ……うぐっ…」
「……。千歳。泣いてちゃ分かんないわ。ほら、私を見て?怒ってないでしょう」
「んっく…んぅ…」
「…そっか…お漏らししちゃったか…。」
「ひっ、うぅ゛っ……ごめなっ、ごめんなさっ……」
「うんうん、怖かったね…。ちゃんと取り替えておくから、今日は私のお布団で寝られる?」
「……。」
「私の、お姉ちゃんパワーの染み付いたお布団で…こわい夢をやっつけられる?」
「…………ん…」
「ん、良い子ね。お部屋まで送ってあげるから、そしたら今度は良い夢を見ようね」
「ンッ…あずさ、ごめんなさい…なのです…」
「気にしないの。」
「あずさ…ちぃは、早く大人になりたいっ…です…」
「…。」
「大人になって、悪い夢なんかみない、強さがほしいのです…」
「……そうね。はやく、大人になれたらいいね。」



「………ふう。」
「ンぁ?」
「あら、卯花」
「シャワーズ。真っ暗な部屋から出てきてどうしたよ、ビビったなあ」
「あ・ず・さ。もうマリアさん帰って着てるんだから、聞かれて余計な心配かけさせたら怒るよ」
「えっ、マジか。今日は早いんだな」
「なんか、仕事全部終わらせて来ちゃったんだって。マリアさんらしいわ」
「ひょえー……あのひっろい厩舎の、仕事を全部?そいつはスゲーや。あっ、オレもなんか付き合おうか?」
「いいわよ。今日は卯花はバイトやって来たでしょ?疲れてるだろうから、ゆっくりしてて」
「ん…ならいいけど…。あんま無理すんなよな?」
「うん、大丈夫よ。おやすみなさい、卯花」
「うーっス」



「…おや。良い匂いがするね」
「はい、今日はの高原豚のしょうが焼きを皆で食べたんですマリアさんにも出来立てを食べて貰いたくて、今焼いちゃいました」
「ありがとう。でも手間だったろうに、作りおきの方が梓沙は楽だろう」
「大した手間でもありませんよ。マリアさんがシャワーを浴びてる間に、お肉をちょっと炒めるだけですもの」
「そうか。」
「はい」
「……梓沙。美味しいよ、ありがとう。」
「…ふふ、それでこそいいお肉を買った甲斐がありましたというものです」
「千歳のことも、卯花のことも、何より家のこともお前には迷惑をかけるね。」
「……いえ…そんな」
「甘えている身で言うのもなんだが、無理はしちゃいけないよ。極論、携帯食料だって買ってあるんだ。私のことで、あまり自分を追い詰めないでおくれよ」
「……。」
「……ん、おいしい。梓沙、今日もご馳走さま。ありがとう、美味しかったよ。お風呂、沸かし直しておいたから入りなさい。まだなのだろう?」
「あっ……はい!じゃあ、失礼して。おやすみなさい、マリアさん」
「おやすみ梓沙」


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