06


「スプーン、いらねえ」

「凍ってるから一気に食べたら歯がきーんってなるよ」

「…」



しばらく考えて、棗はスプーンで食べ始めた。



「姉さんには?」

「気付かれたら煩い」

「分かる分かる、俺も一緒。」



煩いと言うか、命に関わることだからやっぱり心配性で。

姉さんがそれを知ると、かなり過保護になる。



棗は、スプーンを持つ手とは違う手で、俺のシャツを掴んだ。



「ルカには、言うな」

「うん、心配かけたくないもんね」



分かるよ、俺だって昔馴染み以外に知ってるの棗くらいだもん。



「今日1日寝てなよ」

「…進藤、は?」

「母さん? いないよ、最近屋敷に籠ってるみたい」

「…ん」




ゼリーがなくなった容器を受けとると、棗は寝返りを打って布団を被った。




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