02
「学園の外の人だから、とりあえずは学園にいたら大丈夫だと思うけど…。」
それはそれで不自然に感じる。
学園の外で活躍する大人のアリスが消えて、学園内にいる人のアリスは消えない。
とりあえず大人は関係ない、学園の中にいるが外にいるかだ。
「あ、もう授業始まってまう! ほなら放課後な、奏くん!」
「うん、またね」
ふと時間を見れば午後の授業まであと3分。
蜜柑ちゃんは慌てて保健室を出ていった。
「―――棗、授業は?」
「サボり」
「単位は?」
「スペシャルなめんじゃねえ」
保健室の、外に接する窓は空気の入れ替えのため開けられていた。 そこから出てきたのは、棗。
いつもなら授業に行きなよ、と咎めるけど棗の表情はいつもより険しい。
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