01
俺は生まれつき身体が弱いせいで入退院を繰り返していて、クラス登校は1度もしたことがない。
でも最近は体調も落ち着いていて、病院にいることが少なくなった。つまり、毎日学校に来れていた。
でも保健室登校だから、俺がそれを聞いたのは人より少し後だった。
「アリスが?」
「うん」
「へえ知らなかったな」
アリスの消失。
学園の外で活躍する偉い人のアリスの能力自体が器の形に関係なく消えてしまう、と言うことが起こっているらしい。
学園内はそれの噂で持ちきりだそうだ。
全然知らなかった。
「奏くんも気をつけてな!」
「うん、大丈夫だよ。蜜柑ちゃんこそ気をつけてね」
「ウチは大丈夫や!」
お気に入りの植物の本は、とっくに栞を挟んで閉じた。
.
← →|
|