08
その日は定期検診で、付き添いに架兄が来てくれた。
「架兄、アリスの紛失ってどうやったらなるの?」
「俺は教師じゃないから詳しいことは知らないんだよ」
ほら、やっぱり教えてくれない。
教師じゃなくてもナルも海兄も教師だ、知らないはずない。
「アリス紛失って、アリスが消失じゃなくて落としたってことだよね」
「…」
気まずそうに笑う架兄。俺の考えは間違ってない。
だとしたら、目には目を歯には歯を。
アリスにはアリスを。
アリスをどうにかして落とすことが出来るようなアリス≠ェ存在することになる。
「架兄、それって…」
「奏くん!?」
俺の言葉は、聞きなれた声に掻き消された。
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