たどり着いた場所…
そこは、応接室だった。
ガラガラッ…
無意識にドアを開ける山本。
書類や荷物が一切ない応接室は、太陽の香りがほんのり染み付いていた。
「切ねーなぁ」
ガラッ…
山本がそう呟いたとき…
ふと開いた窓。
桃色の香りが、黒い影を包み込む。
山本は驚きに顔を強張らせた。
「ただいま」
影は、柔らかな笑みを浮かべ言った。
桜の香りが充満しすぎて、
死期を感じさせるような香りだった。
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