そこには、恋人の姿があった。
まるで眠っているようだった。
いつもの明るさとは似つかわしくない、真っ白な姿だった。
「……山……本…?」
愛しい名を呼んでも、返事はない。
顔に手を添えても、反応はなかった。
蒼白い顔は、雲雀の体温を吸い取るように冷たかった。
口の端からは血が溢れ、閉じられた目からは涙が流れていた。
左胸には、目を反らしたくなるような傷痕が残され、耳を擦り寄せてみても、生きる証は聞こえてこなかった。
部屋の中がしん、と静まり返る。
雲雀と山本と綱吉だけの空間は、何とも言えぬ虚無感に侵されていた。
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