怖いものは何もなかった。


ただ、どうしようもない切なさだけが、二人を苦しませていた。


「ヒバリ…」

雲雀は一瞬ためらった顔をしたが、静かに山本に告げた。

「またね…山本武」

立ち去る雲雀の背中に、もう迷いはなかった。

だから山本も、背を向けて走り出した。


二人の背中を、ちょっと遅い満開の桜が



見守るように咲き誇っていた。



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