怖いものは何もなかった。
ただ、どうしようもない切なさだけが、二人を苦しませていた。
「ヒバリ…」
雲雀は一瞬ためらった顔をしたが、静かに山本に告げた。
「またね…山本武」
立ち去る雲雀の背中に、もう迷いはなかった。
だから山本も、背を向けて走り出した。
二人の背中を、ちょっと遅い満開の桜が
見守るように咲き誇っていた。
- 59 -
≪
≫
back
Top
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -