「一泊でいいね?」
「お、おう…」
普通それは客が決めるんだよな…という疑念を天然で受け流し、浮かんだ疑問を投げかける。
「あっ…食事はあるのか?」
「あいにく食事は材料がな…」
「………あ…」
互いの顔を見て、互いが固まった。
しばらく沈黙が続くと、武は言った。
「ふ……風呂」
「風呂?」
宿主も自然を装って口を開く。
「入りたい…な」
「沸いてるから…入って良いよ」
「お、おう!」
そう言って笑顔を作ると、風呂敷を持って宿主の指差す方へ駆け出した。
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