スーツを着た男…山本武は、夜の路地を走っていた。
「はあ…はあッ…」
息を切らし、道という道を駆け抜ける。
後ろから銃声が聞こえる。
だが、銃弾は見えない。
夜はただでさえ視界が悪く、僅かな軌道を感じ取り、逃げるしかなかった。
ドンッ
鈍い音がした。
足が棒になる。
身体が言うことを聞かない。
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