「プ……あははは」
寝ていたはずの綱吉が、吹き出した。
「じっ…十代目!!起きてらっしゃったんですか!?」
綱吉は、満面の笑みで頷いた。
「だって、くすぐったいんだもん」
獄寺もつられて笑顔になった。
「ねえ、獄寺君?」
ふいに、綱吉の表情が険しくなった。
「はい、何ですか十代目?」
獄寺は冷静さを装い、素直に応えた。
「…獄寺君に、大切な人はいる?」
「へ…?」
予想外な発言に、獄寺は目を丸くする。
獄寺は、得意気にきっぱりと言った。
「そんなの、十代目しかいませんよ」
綱吉は一瞬目を見開き、眉を寄せて笑顔を作った。
「……そっか」
床を見つめ、綱吉は静かに言った。
「君には失望したよ…獄寺君」
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