『山本命』

と、書かれてあった。

生前の彼なりの、本音を込めた烙印のつもりなのだろう。

そんなお茶目なところが、雲雀は堪らなく好きだった。

(でも、今は……)

そう考えると切なくなったので、さっさと洗ってあがってしまった。



風呂からあがり、着物の格好で洗面所の鏡の前に立つ。


改めて、恋人の形見を見つめた。


鏡に写る自分の姿に、なぜか無性に腹が立った。


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