「第一の修行はここだ」
リボーン率いるファミリー御一行がやってきた場所は…
「これって…間欠泉!?」
綱吉が喚く。
「電車ん中でも言ったぞ、自然が一杯だって」
「言ったけどこれは何か違うだろ!まず俺達が想像してた自然と大分違うよ!!危険だし!!しかも森ん中に間欠泉て聞いたことねー!!」
「…企業秘密だ」
「意味分かんねー!!!つか企業って人工要素バリバリじゃねーか!!誰だよさっき自然が一杯だって言った奴!?謝れ!!森に謝れ!!」
激怒する綱吉を前に、守護者は皆驚きに身を竦める。だが彼の家庭教師であるリボーンは、未だ冷静に顔色一つ変えずにいた。
「ツナ」
「何だよ…!」
「俺は…家庭教師として躾ていたつもりだったが…俺の心使いはお前には不要だったか…」
そう言うと、一枚の紙切れを取り出した。
一瞬だけ悲しそうな顔をすると、その紙切れを破ろうとする。
「じゃあこれは要らないな」
「は?」
「皆に一枚ずつ配ろうと思ってた…露天風呂とバイキングの優待け」
「すみませんでしたァ!!!!」
綱吉の土下座と反省の音が、森中に響き渡った。
***
時はまだ明朝。
綱吉とリボーンが列車に乗る頃の話である。
「こんな朝早くから…。そんなにリボーンに会いたいのか?」
キャバッローネファミリーのボス…ディーノは、助手席で大きなのぴをしながら言った。
「…今回は野暮用」
暫くしてから答えたのは、後部座席に座る雲雀恭弥。いかにも不機嫌そうな面構えである。
(ちなみに彼は、並盛中風紀委員長であり、雲の守護者でもある。)
「野暮用って…」
「合宿」
予想外の返答に、ディーノは吹き出しそうになった。だが背後から殺気を感じたのか、少し口を歪めただけで堪えた。
「合宿って…合宿か?群れが嫌いなお前が…珍しいな」
(まあでもリボーンの頼みだしな)
「べ、別に山本武に会いに行く訳じゃない…」
「あーそうだよな、リボーンの頼み…は?」
相槌を打とうとしたディーノが固まった。
(今、山本武って言わなかったか?いや聞き間違いか…って、この年で幻聴ってヤバくね!?ヤバイだろ!…病院行こうかな…)
「おーいボス、おーい、生きてるかー?」
「…ロマ、俺アルツハイマーかもしんねえ」
「そうか、でも若すぎるぜ。ボス」
冷静なロマーリオや、今か今かと心踊らせる雲雀を他所に、キャッバローネファミリー十代目は大人気ない程落ち込むのであった。- 112 -
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