――…目、十代目…?
「ん…?」
獄寺君の声が、近くで聞こえる――…そうだ俺…確か――
「!」
ガバッ
「うわっ!!」
勢いよく身を起こすと、視界が揺れた。
獄寺の背から転がり落ちそうになり、思わずしがみつく。
「うお!だ、大丈夫ですか!?」
「う、うん」
細やかな気遣いに笑顔で答えながら、体勢を整える。
(そっか…ずっと俺を背負って歩いてくれてたんだ…)
「…あのさ…獄寺君、」
「ツナー!」
「沢田ー!」
綱吉と獄寺の向かう森の中から、二つの影が出てきた。
「山本!お兄さん!!」
山本は満面の笑みで駆けつけた。了平は綱吉のことを心配しているようだった。
「沢田、大丈夫か?獄寺からお前が足を挫いたときいて…俺は極限心配だったぞー!!!!」
ウオォォと猛る了平に、山本以外の誰もが耳を塞ぐ。
「…あ、ありがとうございます……ん?…あー!!」
いつも弱気な綱吉が、了平に負けないくらいの大声を出したもんだから、皆が驚いた。
「どうしました、十代目?」
「何だ?俺と極限に勝負したいのか?」
「ち、違く…て…」
綱吉が頬を引きつらせながら向けた指の先は…
「ちゃおッス」
「リボーン!!」
彼…リボーンは女子マネらしくハートを振り撒きながらも、山本の肩に器用に座っている。
綱吉は半ば半泣きになりながら、山本の肩にいるリボーンを睨み付けた。
「おい!お前あのまま俺を置いていく気だったろ!!獄寺君がいなかったら、俺今頃死んでたかも知れないんだぞ!?」
「大袈裟だぞ。それ位じゃ死なねえだろ」
怒る綱吉とは裏腹に至極冷静なリボーン。山本は訳がわからず、笑うしかなかった。
「大体お前は…」
「オメーら、テントは張ったか?」
「あ、はい…張りました」
「聞けよ!!」
激昂する綱吉。だがそんなことはお構いなしで話を続ける。
「じゃあ早速修行だ」
(……こいつ…)
「じゅ、十代目、抑えて!!」
「よし、ついてこい」
そう言って山本の肩から降り、ゆっくりと歩き出す。
綱吉含む四人は、ただ黙ってついていくしかなかった。- 111 -
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