暫くの間、二人は無言で抱き合っていた。

と言うより、お互いに理解していたため、言葉を交わす必要がなかったと言うべきか…

臭過ぎだろうか。


始めに口を開いたのはディーノだった。


「で…何が不満だったんだよ?俺で良ければ力になるぜ」

すっかりご機嫌なディーノ。

口調も兄貴らしく男前になっている。

「…わ、わーったよ…しゃあねーな…!!」


少し顔を紅潮させる獄寺。

どうやら、兄貴モードが密かに彼の好みらしい。

「おらよ」

「わっ!…と……え?」

短い返事と共に投げ込まれたのは、彼の武器であるダイナマイト。

無論、着火はしていない。

「え、これが?」

「湿気ってんだよ、それ」

「あ…」

改めて触れてみる。確かに、じめっとした感触があった。

「チッ…折角使おうと思ってたのに…」

獄寺の呟きに、ディーノは全身を凍らせた。


“一体何に使おうとしてたんだ?”と素直に質問するのが怖かった。

身体がわなわなと震える。

拳を強く握り締め、勇気を振り絞り、口を開いた。


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