暫くの間、二人は無言で抱き合っていた。
と言うより、お互いに理解していたため、言葉を交わす必要がなかったと言うべきか…
臭過ぎだろうか。
始めに口を開いたのはディーノだった。
「で…何が不満だったんだよ?俺で良ければ力になるぜ」
すっかりご機嫌なディーノ。
口調も兄貴らしく男前になっている。
「…わ、わーったよ…しゃあねーな…!!」
少し顔を紅潮させる獄寺。
どうやら、兄貴モードが密かに彼の好みらしい。
「おらよ」
「わっ!…と……え?」
短い返事と共に投げ込まれたのは、彼の武器であるダイナマイト。
無論、着火はしていない。
「え、これが?」
「湿気ってんだよ、それ」
「あ…」
改めて触れてみる。確かに、じめっとした感触があった。
「チッ…折角使おうと思ってたのに…」
獄寺の呟きに、ディーノは全身を凍らせた。
“一体何に使おうとしてたんだ?”と素直に質問するのが怖かった。
身体がわなわなと震える。
拳を強く握り締め、勇気を振り絞り、口を開いた。- 107 -
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