「ホントにスタジオだ…」
山本が辺りを見回す。
そこは、不思議な空間だった。
学校の中に建てられた、新しい場所。
空間には、雲のような丸いライトが何十と存在し、真っ黒なカメラが、圧倒的な存在感を産み出している。
部屋の中の全てが、新しい匂いを放っていて。
深呼吸すれば、自分も新しくなれるような気さえした。
「僕がつくらさせたんだよ」
「な、何に使うんだ?」
「…学校の繁栄と……」
一瞬、雲雀が固まった。
「と?」
コホン、と咳をし、また口を開いた。
「…誰かさんの音痴の修復」
「へぇー、そーなんだ!!」
無言で睨む雲雀。
山本はその真理を知らない。
「じゃあ、そろそろ撮りますよ」
草壁が、二人に視線を向ける。
「草壁先輩って、カメラワークも得意なんスね!!」
「ええ…まあ…」
山本の憧れの瞳に、草壁が照れる。
「…それ位できないなら副委員長とは認めないさ」
「ハハ!!ヒバリは厳しいのな〜。でも…やっぱ尊敬するなぁ〜」
「僕だってそれくらい…」
一人呟く雲雀。
「ん、何か言ったか?」
「……」
バキッ
雲雀は草壁の腹を殴った。
ぐおっ、と呻き声をあげ、
「い、委員長…」
ぽそりと泣き言を言った。
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