月夜に瞬く星たちは相も変わらず同じ光を発し続けている。 いつ見ても同じなはずなのに、観察する度違う表情を見せる。 暗い海での灯台のように私たちを照らして導くはずのそれは、私にとっては錯覚を引き起こすただの瞬きにしか過ぎなかった。 私は迷ってしまったんだ。せっかく結ばれたのに、せっかく想いが通じたのに。今になって自分の恋愛経験のなさに絶望するなんて。 有人飛行は私には荷が重過ぎたのだ。誰かがいるということにより得られる、私は一人ではないという安心感と私は一人ではないのだという不安感。相反する二つの感情は私の心を揺さ振った。 何より貴方がそばにいることがその二つの感情を助長させた 「なあ、俺ら、合わないんじゃねぇか?」 普通の質問、例えば明日の天気って晴れじゃなかったか?と尋ねるかようにその言葉を紡いだ彼は、何だか物寂しい思いを抱いているようだった。 そう思う? 私は彼の顔を見ずに言った。どんな顔でその話をしているのか気になったけど怖くて見られなかった。 「…だってよ、」 その先の言葉は聞きたくなかった。 わかっているよ、わかっていたよ。 二人になると何だか緊張して、会話が続かなくて終いにはなくなって、じゃあまた明日とかバイバイとしか言わなくなる。 ねえ、嫌いなわけじゃないんだよ?苦手なわけじゃないんだよ? 好きだからこそ貴方が見えなくなって、何も考えられなくて、彼がそばにいるだけでいいやって思って。 でも、それは自分だけだったのかな?彼は違ったのかな? …どちらにせよ、それを聞くことのできなかった私も私。 想いを確認するのに、きっともっと何か違う方法があったに違いない。 二人が共有できるような方法が。 何にせよ、それを探すことのできなかった私も私。 せっかく彼に触れられたのにまるで触れたところから自分がすり抜けていくようで。 ねえ、離れても、私はまだ…。 私はまだ貴方のことが好きなんです。 心をどこに預けたらいいの (苦しいだけならいらない) 理解できても共感はできなかった、後でその言葉を言われて、どうしてそれをあの時言ってくれなかったの私は貴方のためなら直すのに、そうやって泣きわめいて、貴方の困った顔が涙で歪んで見えた。 2011/10/25 |