遠い未来のことだと思っていた。 この歳まで恋なんてしたことがなかったから私の初恋はまだまだ先で、もしかしたらできるかすら怪しいレベルなのだと思っていた。 だけどそんなことは全然なくて。 近くにいる彼に恋をしてしまった。 私に話し掛けてくれて、私を気にかけてくれて、私に笑いかけてくれる。 彼のそれは彼の男友達に対するそれと同じで、いつもからかってきて決して女の子に対するものではなかったけれど、私はとても嬉しかった。 ずっとこの関係が続けばいい、そう思ったときにはもう遅かった。 その思考を持った時点で、私は彼に恋をしていたのだ。 だけど、私は彼に恋をしてはいけなかったのだ。 私は誰よりも私に近いのは彼だと思っていた。でも本当は一番遠かったのだ。一番近かったせいで見えるものが見えなくなっていたことに気付くことができなかった。 友情から恋情に変わった感情は、私の普通を崩壊させた。 彼を見る度接する度に深まっていく感情。何よりも彼を手に入れたいという欲望。 自分の気持ちの変化に頭はついていけないまま、心だけがどんどん先行していく。心に反応する体は彼を受け入れながらも拒絶する。 待って、置いてかないで。 そう言ったって自分はどんどん自分を離していく。 離れる距離が長くなるとただ辛いだけだった。 心は彼に触れたいと願っているけど、頭は触れることができない触れたら最後と考えている。 矛盾する二つに挟まれ私はよくわからなくなってしまった。 ふと、届きそうで届かない手を、もう一度伸ばしてみる。やはり届かない。届きそうで、届かない。 もどかしい、もどかしい。 その感情だけが私を満たす。 私を満たすのは彼だけで十分なのに。 好きだと言える幸せが欲しい (せめて言わせて) 2011/10/05 |