目を開けたらいきなり肌色が飛び込んできた。 「…っ」 声にならない声を発してまだ覚醒しきっていない頭をフル活動。 ああ、そっか。昨日したんだ。 昨日のことを思い出し少し恥ずかしくなる。 そういえば私、昨日なんか言ったような気が…。 大変なことを言ったような気がしないでもないけど、頭は全く働かない。 まあいいか。 今腕の中にいる状態だから小さく伸びをしてまだ寝ていたい気持ちを振り払う。 スポーツをやっていた時の名残だろう、今でも逞しい身体を保っている彼の頼りがいのある胸板が目の前にあって。 あったかいなあ。 さっき振り払ったはずの朝の微睡みに蕩けて、自然と頬を擦り寄せた。 「ぁ、」 すると頭を包み込まれて胸板に押し付けられる。何事かと上を向けば。 「なにしてんだ?」 「なんだ、起きてたの」 「いや、」 今ので。びっくりした。 そう言う彼の頬は少し赤くなっていて。さっきは逞しいなあかっこいいなあなんて思っていたけど何だかかわいく思えてきた。 「おはよう」 「ああ、おはよう」 額に軽くキスされて、なんだか甘酸っぱい気分になった。 「なに?」 照れ隠しで少し不機嫌気味に言うと、不敵な笑みを浮かべて一言。 「昨日はかわいかったなあ」 優位に立たれたような気がして、むっとして、むくれ顔で言い返す。 「昨日は?いつもはかわいくないってこと?」 「そんなわけじゃない」 ただ。 そう言って一拍おいて。 「昨日みたいなときは特にってこと。お前はいつもかわいいよ」 耳元で囁かれた瞬間、自分の頬が赤くなるのを感じた。 「…調子いいんだから」 なんでそんなこと平気で言えるのよ、バカ。 恥ずかしさは最高潮、自分の顔が見えないよう隆文の胸に押し付けた。 「お前もたまには素直になれよ」 最中はあんなことやこんなこと、平気で言ってたんだから、昨日の感想とかさ、言ってみろって。 ……思い出した。私、本当に大変なこと言ってた。 情事の最中は欲の波に溺れてわけがわからない思考の中で本能の赴くままに、言葉を発していた。 愛の言葉はもちろんのこと…その他の言葉がどんなものかはご想像にお任せします。 「言えないのか?恥ずかしい?」 「……っ、」 ほらほらー。だからたまには素直になれって。 明らかに笑ってることがわかるような口調でからかってくる。 そんなこと言わないでくださいこの変態眼鏡。素面じゃ恥ずかしいんだから答えられるわけがないでしょう? 髪の毛をくしゃくしゃにしながらなおのことからかう彼に私はどうやっても勝てなくて。 半分自棄になって…意趣返しをした。 「好きだよ」 「素直じゃな……え?」 「おやすみ」 「ちょっ、」 もう一回、なんて請われても言ってあげないんだから。 おやすみ、おやすみ。 素直な私はしばらくあなたの腕の中で眠るから、その私が起きるまで伝えた言葉の熱で冷たい私を暖めて。 とにもかくにも (素直じゃないけど、彼を好きなのは私も同じなんです) 抹茶様へ request thanks! 2011/08/11 |