10-1 | ナノ








「くっ、……月子………」

「っあ、おねが……、もっと……もっとぉ………!」

「………っ……」


もっと、もっと。
私がその言葉を口にするたび貴方の顔が悲痛で歪む。



なんでそんな悲しそうな顔をするの?
私がそばにいるよ。
貴方のそばにいるのに。
どうして悲しいの?



恋は盲目。灯台下暗し。
何年も前の先人たちは、よく人間をわかっていたと思う。

恋に溺れて、何も手がつかない。
何もわからない。
相手の気持ちさえも。

もう何でもいい。
この体温を感じられるなら、ずっと、ずっと感じられるなら。
愚かだと言われてもいい。

どんなに怠惰になったっていい。
酔って、乱れて。
もう何も、考えられない。







ラヴァーズフェイク
(いつの間にか、求めることしか出来なくなっていた。)





2011/01/06