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!たつみさんとにとりくん





こいつが女だったら。
そう思った時点でもう、そいつに惚れているんだと思う。

だって性別という人間を取り仕切る区別がなければ普通に付き合っていたわけだろう?
そしたらそれは恋慕の情が少なからずあるというわけで、かつ少なくとも体を許すくらいの覚悟はできているわけで。
こういう関係になるのは当たり前なわけだ。

だがしかし、性別という檻は決して外れることのない鍵がかけられていて、どんな人でも抜け出すことはできない。それはこの世に生まれ落ちた時点で確定してしまい、どうやったって変えることができないのだ。更に言うと死してなお抜け出すことはできない。確定された個人の情報(ついでに言うと確定された個人の社会的立ち位置)はその個人がどんな状況になろうと変えることができないからだ。
他のどんな困難な運命を乗り越えることができようが、どうやったって、この一つの運命から逃れることはできないのさ。



でも檻を抜けられないのなら抜けなければいい。押してもダメなら引いてみろ。
加えて言うと、にとりが女だったらこんなに仲良くはなっていないだろうと断言できる。理由は、詳細を語るまでもないだろう。それほど性別の壁は大きいのだ。

にとりは、こいつは女みたいな顔立ちを持ち、背もそんなに大きくない(これにとりに聞かれてたら確実に俺死んでるなあ)けど女じゃない。
…つずらさんは似てるけど、姉さんじゃ、ダメなんだよな、こいつじゃなきゃ。

そう、
俺はこいつじゃなきゃダメなんだ。



だからこのままで恋愛をしたほうが、俺にとっては好都合なのさ。



願わくばそれがあいつにとっても好都合でありますように。








背徳の利を一致できるか
(そうじゃなくとも俺がこれから変えていけばいいか)
(俺の力量の魅せ所だな)





2011/07/28