「なんだ、まだ起きてたのか」 風呂から上がり、今日も一日疲れたなと寝室へ向かった俺は、俺が風呂に入る前と同じ体勢でまだ寝ずにベッドの中で本を読んでいた月子に声をかけた。 「あ、うん」 「先に寝ててもよかったんだぞ?」 「それは、そう、なんだけど……」 何か言いたいことがあるのだろう。本をしおりを挟まずに閉じ、落ち着かない様子で俺のほうをちらちらと見遣る月子は中々それを話そうとはしない。 「なんかあったのか?」 「えっ、と、」 しばらくどもっていた月子は、 「あの、あのねっ、」 一大決心をしたかのように勢いよく言葉を発した。 「明日は休みだし、その、そろそろ私たちのこっ、…今後のこととか考えたいなーって、思って…」 「俺達の今後のこと?」 それはどういう意味だと問う前にある言葉が頭を過ぎった。 「…もしかして、家族計画、ってことか?」 「……は、い…」 布団をぎゅっと掴み恥ずかしさからか少し体を震わせていた。 いつも小さく見える月子が今はもっと小さく見えた。 「こ、こんなこと私から言うのはどうかな、って思ったんだけど、やっぱり…真剣に考えたくて、」 それにこ、子供欲しいし……と消えるような声で言いながら俯いてしまった。 これを妻に言わせるだなんて…なんて鈍い夫なんだろうか。 静かにダブルベッドに乗り上げる。きしっ、と軋む音がして、それに少しだけ月子が反応した。 「じゃあ、するか?」 「………っ…」 無言で頷きまた俯いてしまった月子の顔をあげさせて最初は触れるだけのキス。次にこれからすることを詫びるように慈しむような深くて甘いキスをする。 それが、長い長い夜の始まり。 優しく、それはもうこれまでにないくらい優しく愛撫を繰り返し、脳内も身体もぐずぐずに蕩け始めた月子の中にそっと入ってから何回目だろうか。俺のものから月子の中へ出ていく度にその感触に反応してぴくぴくと体が弛緩する。そんな月子が愛らしくて、とてもいやらしくて。それを形容するならば艶美という言葉が一番相応しいだろう。 「ぁ、ぅ……まだ…っ」 それにしても長い。長すぎる。久しぶりとかは関係ないだろう(むしろ久しぶりのほうが勢いがあるんじゃないか?)。 ……もしかして、歳か? それとも…… 種として男としての本能か。 「どうやら、まだみたいだな……っ」 「ぁ、ふ……んぅ」 目をギュッと瞑って、快感に堪えているが、いつもは出さないため慣れていないのだろう、さすがにこうも長時間中に出される感覚は辛いみたいだな。……まあかといって止める術はないのだが。 「ん…っ、ぁ…」 ……久しぶりだからか月子のそういう表情を見るだけで結構クる。出すものを出して萎えていた俺のモノが再び熱くなりはじめた。 「へ、な…っ?」 「ごめんな」 もっとお前のこと愛したいみたいだ。 そう耳元で囁けばこれでもかというくらいに目を見開く。 「ゃ、まっ、ぁあっ…!」 抗議の言葉なんて聞いていられるほど余裕はなくて。無理矢理腰の律動を再開した。 「やり過ぎたな、」 そう呟いても何の返事も返って来ない。隣に横たわる月子はさっきの艶美な表情とは打って変わって、まだあどけなさの残る寝顔を見せている。 もう月子の体力がもたないだろうと思い抜こうとしたのにもかかわらず、それを嫌がるかのように焦点の合わない目を潤ませ赤くなった頬をさらに紅潮させながら俺のモノを締め付けた月子に煽られて、結局月子が疲れ果てるまで致してしまった。……俺はなんで本能に逆らえないのだろうか。 (…いや、もっとと乞ったお前も大概だろうに) そして今になって今回のこの行為の目的が俺達の未来の宝物だということを思い出した。 (月子だけでこんなに脳内を占めているというのに、こんな俺がはたしてきちんと父親という役を全うにできるのだろうか) 自嘲気味に軽く笑って、隣にいる月子を見遣る。 まあ、気遣いのできる立派な母親がいるから大丈夫か。 欲求が未来を育てるのなら (俺はいつだって吐き出してやるよ) ゆみ様へ request thanks! 2011/07/07 |