6-1 | ナノ








潤む君の瞳から、一筋。

僕はそれを舌で舐め取り、目尻に一つ、キスをする。


「い、く……」


「大丈夫、大丈夫だから。僕はそばにいるよ」


「……っ、」


誰よりも泣き虫な君に、優しくハグをする。


「だから、泣かないで」


君が泣いているのを見て、一番悲しむのは誰?


「僕が悲しくないように、僕のために、泣かないで」


君の涙はこの世の何よりも、僕を悲しませる一番の要因なのだ。







ティアーオブファクター
(その要因を何よりも美しいと思う僕がいるのも、また事実だけどね)





2011/01/06