「ねえ、貴方は私の側にずっといてくれる?」 そう言葉を零した彼女の表情は俯いているせいで見えなかったが見なくてもわかるくらいに暗くなっていた。 急にどうしたのだろうか。彼女がそんなことを言うなんて。 何かあったのかと聞こうとしたのだが、全くどこまで使えないやつなんだ、何故か俺の口は動いてはくれない。 「…永遠が存在しないことも知ってる。だけど、でもね?…私は求めたいの」 求めても得られないのにね、と、自嘲気味に発せられたその言葉に、俺は少し身震いがした。 本当に、こいつは大丈夫だろうか。結構弱っている気がしなくもないのだが。 「お前、」 「いて、くれる?」 顔を上げた彼女はいつものあの力強さとは別の強かさを持ち合わせた表情をしていた。 だから俺はこくり、と喉を鳴らし、変な緊張感のせいで余計に分泌された唾液を嚥下すると共に、喉の半分まで出かかっていた言葉を飲み込むほかなかった。 わかっていた。 彼女が普通じゃないことを。彼女の瞳に狂気が満ち溢れていたことを。 今、動かなければ俺はもう……。 そんなことも、わかっていた。 だけど、どうにもこうにも逃げ出せなくて。 ああ、結局俺もこの狂気に呑まれていたのだと、頭の片隅でそう思った。 どうしてもこいつの前になると弱くて強がっていた自分自身の紙耐久の壁がぼろぼろになって意味を為さなくなっていく。 俺はどうやったって逃げられやしないんだ、こいつの前から。絶対に。 狂喜に呑まれた自身 (そんな頼られ方でも嬉しくて) 5000HIT thanks! 2011/05/04 |