※アフサマ犬飼ルートネタバレあり 本気で酸素濃度が足りねぇ。 なんだこれは。 マジで窒息死しそうだ。 「隆、文……」 目の前にはシャツが少しはだけた月子。 それと同様に俺の服装も乱れてて、ネクタイは外れて首にかかってるわ、シャツの前ボタンは数個開いてるわ、まあ、これから起こることは容易に想像できてしまう姿をお互いしているわけだ。 今日俺がしたプロポーズは月子の乙女心の関係でまた今度やり直しとなったわけだが、俺達が恋人同士だという事実は覆らないわけでして。 お互い最近忙しくて今日久しぶりに会ったとなれば、お互い触れたくてしょうがなくなるのは必然的で。 今、月子は俺に押し倒されている。 もちろん、同意の上で、だ。 こんなこと、何回かしてるはずなのに、期間が空いてしまったせいかやけにドキドキしてしまう俺。うまく息が出来ないくらい緊張している。どうやら月子も同じみたいで、少し震えていた。 「大丈夫か……?」 「う、うん……その、久しぶり、だから、ちょっと緊張してる、だけ」 「そうか」 何と言うか、似た者同士だな、と絆に感想を加え、お揃いの称号だとガキみたいに喜んで表情に微笑を携えた。 「た、隆文だって、少しは緊張してるでしょ……?」 どうやらこいつは俺のにやけ顔を嘲笑の意味合いにとったらしい、むきになって口調を少し強くして顔を膨らませながら俺を見上げて言ってきた。 ……ちくしょー、本当に、この角度からのその表情は反則だぞー? 「まあな」 「ひ、人のこと言えないじゃない……」 「……うるせぇよ」 「ん、」 そうやって昔から変わらない敵対心みたいなものを見せてくる月子がなんだかとても愛しく思えて、反射的に口づけをする。 「んん、ん……ふぁ……」 もちろん軽い口づけなんかじゃ足りないから舌を入れて月子の舌を搦め捕る。二人分の唾液が絡まる音が部屋に響き、それによって俺の脳髄は情欲の波に更にドロドロに溶かされる。 もう20半ば、三十路への階段を着々と進んでいるはずなのに自分の我欲のまま相手を貪るだけのティーンエイジャーみたいなキスに、今度は本当に自嘲の笑みが零れた。 「んぅ……また、笑った……?」 静かに唇を離すと、また頬を膨らませる月子。 「別に、笑ってねーよ」 「……………」 何を思ったのか月子は俺の首に手を回してその瞬間ぐいっと引き寄せた。 「うお、っつ!」 ガチッと歯と歯がぶつかる音がした。 くそっ……いってぇぞ……こら……。 「笑ったから、その、お仕置き」 勢いよく触れただけのキスの後、月子はふいっと顔を横に反らしてしまった。その顔は、すごく赤くなっていて。 ったく、なんて可愛いことしてくれるんだ畜生。 ……あーあ、久しぶりだからとはいえ次の日に支障を来してはどうしようもないから頑張って抑えようとしていたのに、ああもう……お前のせいだからな。 「お前からしてくれるんなら、もっと深いやつにしてくれよ」 「なっ……んッ、」 今度は本当の獣のように欲望のまま再び月子の唇に自分のそれを合わせた。 いつだって心は昔のままで (昔からお前は可愛いすぎんだよ) 2011/04/17 |