桜も満開になり、その綺麗な桜吹雪を纏いながら、私のこの気持ちが、遠い空の彼方へ飛んで行ってしまえばいいのに。 「好きです、大好きです、好きでした」 そう告げると、貴方はとても苦しそうに笑って、 「ありがとう」 ただそれだけを、私に返した。 そうだよね、それしか言えないもの。 私はただの生徒で、貴方はただの教師。 そう、ただそれだけの関係。 ……なのに、何故それ以上を望もうとするの? そんなの、意味のないこと、そう、無駄なことなのに。 「今まで、お世話になりました」 そう言って深々と頭を下げる。 不思議と涙は出ていなかったが、下を向いたら落ちていきそうで、すぐに頭を上げた。 「おう、元気でな」 にかっと笑う陽日先生の表情は何だか浮かばれない顔をしていた。 知ってるよ、先生。 先生は、私のこと、まだ想ってくれてるでしょう? でもあの時壊れた絆に加えて先生と生徒だからって思って、その想いをなかったことにしてるんでしょう? そんなの気にしなくていいんだよ、だって私は卒業するから。 もう先生と生徒じゃないんだから。 でも、それでも先生は、私をさらってはくれない。 絶対に、そうしてくれない。 「おーい、月子、もう行くぞー」 「遅えならおいてくぞ!」 遠くで錫也と哉太の声が聞こえる。 でもまだそばにいたい。 だって少しでも希望があるんじゃないかって思ってしまっているから。 でも、先生は一向に動いてくれなくて。 ああ、そうかやっぱり……。 だから、せめて、こんなときくらいは、精一杯の笑顔で。 「……さようなら」 「ああ……さようなら」 言葉を発してすぐに幼なじみたちのもとへ向かう。 もう振り返らない。 だから、もう、終わりにしよう。 終止符を打つとき (願って想って祈って、崩れ去る) 2011/02/14 |