9-1 | ナノ













どんな貴方も、愛してる。





「あ、あ……」


肉食動物に狙われた小動物のような、その怯えた目も。


「好きです」

「ゃ、いや……」


どんなに迫っても屈しない、その頑強な意志も。


「愛しています」

「こな…い、で……」


全部愛してるのに、僕を拒絶する彼女。
何故……?


「……ひっ、」

「愛して、います」


愛しい彼女へと腕を伸ばす。
標的は、彼女の細い首。


「や、…っ…!」

「好きです、好きです、好き、」


愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる、
なのに、何故貴方は僕に振り向いてはくれないのですか?


切なくて、もどかしくて。僕を拒絶する、そんな貴方が、何よりも愛しいはずの貴方が、とても憎らしくて。

伸ばした腕にそっと、力を込めた。










ずっと一緒にいられますように
(息を止めたら、魔法をかけてあげる)





2011/02/08