2-1 | ナノ








「翼くん?」

「うぬぬ……」


仕事中の書記の背中に張り付く。
でもあるもどかしさは拭えなくて。
どこまで俺はおこがましいのだろう。


「気にしないで……」

「うーん、気になるんだけどな……」

「いいから!」

「……うん」



さっきよりももっときつく抱きしめる。
ダメだ、ダメだ。
足りないや。

俺はこんなんだけど、君は?
ねえ、君はどうなの……?

……ああ、そうやってまた縋ってる。
でも独りは寂しいんだ。怖いんだ。
一度覚えた温もりは、簡単に忘れない、いや、忘れられないんだ。
特に君からの温度はとっても心地好くて好きだ。
ううん、温度だけじゃない。
君のことも、大好きだ。

だからあっためてよ。
君のその優しい心で。
俺を芯から温めて。



そう思いながら俺は彼女の背中にブレザー越しのキスを送った。





水槽越しにキス
(直接触れることは、怖いから)





02/03 Tsubasa Amaha
HAPPY BIRTHDAY!



2011/02/05