o2 | ナノ








後味悪く終わった恋は、
どうすればいいの?





『終わりよければ全てよし』



今の私には一番酷な言葉だ。
私の好きな人には好きな人がいました。そして私はその好きな人の好きな人とふざけてキスをしました。
おかしいって?
うん、おかしいと思う。
何がしたかったのか、自分でもよくわからない。ただ寂しかっただけなのか、この人を手に入れればあいつも手に入ると思ったのか。前者のほうが、少しは私の気がましになる。
でも、私は悪くない。
だって吹っ掛けて来たのは完全に向こうで、私はそれに応じただけ。確かにのった私も悪いけど、始まりは、そう、全部あの子。
あの子が、彩香がいけないの。
中途半端に気を持たせて、本当は自分は全然そんな気なんてない。
それで何人の男と気まずくなったの?
何がしたいの?遊びたいの?
モテたいの?
もうわけわかんない。
気持ち悪い。



……ねえ、どうして?どうして?
私は結木のこと好きだよ。
この想いは誰にも負けない自信があるのにどうして貴方はあの子を選ぶの?


「あのねー、」


変に甘ったるい猫撫で声を出すあの小悪魔のどこがいいの?
……いや、小悪魔なんて、そんなかわいいもんじゃない。
あの子は魔女だ。魅了の魔法を纏ってる魔女。
明らかに男に媚びてて、わざとなのか自然になのかわからないけどスキンシップも激しいくらい。それに加えて、ねえ知ってる?……結木は、いや、男の人たちみーんな気付いてないだろうね。あの子って、事あるごとにあの子が下に見ているであろう人間に対して自慢をしてくるのよ。
……そんな女のどこがいいの?
別に結木が誰のことを好きでも構わない。あの子が結木に好かれているからといって羨ましがってるわけでもない。
私が言いたいのは、なんであの子なの。
あんな、同性からも好かれていない、他の男に媚びるような女を!
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでっ!!





……いつまでも根に持ってたらダメだって知ってる。私の気持ちも、もうあいつに届かないことくらい知ってる。
だけど。
もしかしたら、何ていう仮定論を持ち出してる自分がいる。
仮定論は所詮仮定でしかないのにね。
馬鹿みたいに、希望を捨てないで。
馬鹿みたいに、願ってる。

私には誰もいないから、傍に誰かを欲して夢見てる。
……夢見てることでこんなことになっちゃったのかもしれないけど。



うん、そろそろ現実見なきゃいけないことくらい十分承知してる。



だから忘れたいの。
この気持ちも、何もかも忘れなきゃいけないの。忘れなきゃ、私は前に進むことなんでできやしない。
いや、前に進んだら何もかも、全部、忘れられるかな……?





前に、一歩でもいいから、進んで。





そして……私は鳥になる。















さあ、門前に立とう、
(飛び立つ前に、執着心の断片を掲げる)





2011/01/28